品質を確保したうえで納期は絶対に守れ

Twitterで「納期を約束しなければいい」と発言したプログラマのツイートがプチ炎上しましたが、それについて私の所感を述べようと思います。結論はタイトルにもあるように、品質を確保したうえで納期は絶対に守れです。これは品質を守るためなら納期が遅れてもいいという意味ではなく、品質を何としてでも確保し、同時に納期も絶対に守れという意味になります。

大規模案件で納期遅れは全体に大ダメージを与える致命傷になりうる

発注者である事業会社、元請けの大手Sier、2次請けの中堅Sier、それ以下の中小零細企業の体制で進めているシステム開発案件をイメージしてください。特定の機能を担当している会社が「納期がいつになるか分からない」と発言したとしましょう。仮に本当に納期が遅れて全体のスケジュールが遅延した場合、発注者は作業要員のつなぎ止め費用だけでなく、業務的な費用も含めると膨大な損失が発生する可能性があります。かつて信販業界全体にそこそこの損失を発生させた総量規制問題というものがありました。法対応なので緊急で対応する必要があり、どこの会社もシステムで対応できるようになるまでの間は、すべて人力による手作業のオペレーションで対処せざるを得ない状況でした。その期間が長くなればなるほど、派遣社員の事務職員を継続して雇い続ける必要等があり、場所代も大きなコストとして降りかかってきました。この例の場合、数十億円級のダメージを受けた会社もあったようです。

通常であれば、納期遅れの可能性が分かったタイミングで、その会社を管理する元請けベンダーなどが、納期を守れない理由は何か、その理由を潰すには何をすればよいかなどを確認し、何らかの対策を打ちます。単純に露骨に能力不足やパフォーマンス不足等であれば、代わりなどいくらでもいるので、会社ごと変えることが一番手軽で即効性のある対応になります。もちろん使い物にならない状態の成果物を納品しても意味がないので、必要十分な品質を確保する必要はあります。

業界シェアの大部分を占めるメーカー系Sierは納期への意識が高い

「金融は不渡り2回でアウト、メーカーは納期遅れ2回でアウト」は日本で広く知られている一般常識のルールです。日本のIT産業では、メーカーの子会社が業界シェアの大部分を占めています。彼らの母体はメーカーの本体になるため、自身にとっての納期は絶対に死守すべき指標になっていることが多いです。自社で上流工程を担当し、下流工程は他の会社が担当する役割分担でプロジェクト推進することが一般的ですが、プロジェクト全体の責任は元請け側にあるため、下流工程の納期遅れは、元請け側の責任になります。また契約形態が準委任ではなく請負の場合は、法的にも絶対に納期を守らなくてはならないので、納期遅れはありえません。さらに製造業にとっての品質は事業の生命線でもあるため、品質を落とすことも許されません。

会社や人が有能かどうかの判断はQCDが指標になる

大企業であればあるほど、三権分立の体制を取っている会社が多く、調達先の審査が厳しいです。定期的にQCDそれぞれの観点で問題がないかを、第三者が客観的な指標を用いてチェックします。納期を守らない会社が継続して大企業と取引できることはまずありません。次回以降の発注が欲しいのであれば、納期は守って当たり前であり、必須事項になってきます。

中小企業がフリーランスのエンジニアを雇用する場合も同じ考え方です。自分よりも無能な部下を横に置きたがるタイプの人も多く存在しますが、結果を出そうとすることに強い意志を持っているタイプの人は、結果を出せない要員をとにかく毛嫌いします。多くの場合で有能な発注者は、無能な要員がアサインされると、1か月以内に要員交代を検討し始めます。IT業界では3か月スパンでの準委任契約が一般的ですが、初回の更新前に営業にクレームを入れて、強制チェンジになるケースも少なくありません。

世界的にどうしようもない状態になるなどの一部の例外はある

テレワーク用のPCを調達したいが、コロナの影響で工場や物流が止まり、納品がいつになるか分からない等のケースは例外です。この場合は全世界的に危機的な状態にあり、今後の展望が誰にも分らず、個人や一企業の努力ではどうすることもできない状況です。納期がいつになるか分からないため、そもそも受発注しないという企業も多かったと思います。このようなケースは稀ですが、納品見込みがないことを隠した上で受注したり、割高な金額での取引をしない限りは、仕方がないこととして処理されるでしょう。

まとめ

言いたいことは「品質を確保したうえで納期は絶対に守れ」です。エンジニアに限らず、日本の社会人なら守るべき一般常識です。

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