インフラ基盤はAWSではなく拡張不可のVPSを採用しました

このサイトのインフラ構成を決める際に、3つの異なる基盤サービスのどれを採用するかを検討しました。IPAの非機能要求グレード表はインフラ調達の際のお馴染みの資料ですが、今回はそれを元にした簡易的な評価シートを用いて決定しました。昨今のWeb系スタートアップ企業では、理由もなく安易にAWSやDockerといったトレンド技術を採用しがちです。この記事では一般的な調達プロセスの解説も兼ねて、最終判断までの経過を説明します。

絶対に必要なMust要件を定義する

何かを決める際には、QCDそれぞれの観点で、必ず守らなくてはならない制約がいくつもある場合がほとんどです。具体的には、システム稼働率が〇〇%以上、予算が月額△△円以下、◇月◇日までに納品可能等の条件になります。中小企業でよくある話ですが、資金力に乏しい企業は、コストの上限が見えない従量課金制を嫌います。私もリスクを考えて定額課金制は必須の要件とし、今回はAWS案を不採用としました。

Must要件

評価項目VPS(拡張なし)VPS(拡張あり)AWS
定額課金であること×
稼働率が99%以上であること
結果OKOKNG

重要視すべき評価項目とその程度を明らかにし、Want要件を定義する

スタートアップの段階では、とにかく低コストでシステムを運用できることが望ましいです。個人が複業で何かを始める場合、ある程度の資金調達に成功した零細企業がWebサイトをリリースする場合、どちらのケースでも、限りある資金は「広告費」に集中させることがベターな投資戦略になることが多いためです。したがって今回の評価に関しては、コストのウェイトを高めに設定しています。
また、通常の場合であればシステム拡張のしやすさを重視することが多いですが、私のプロジェクトでは作業者がすべて私になるため、1人日でスクラップアンドビルドの作業が完了します。よって今回の評価では重み付けが低めになっています。

Want要件

評価項目(重み)VPS(拡張なし)VPS(拡張あり)AWS
可用性(5)5(25)10(50)10(50)
性能・拡張性(2)2(4)5(10)10(20)
運用・保守性(2)2(4)5(10)10(20)
移行性(2)10(20)10(20)10(20)
セキュリティ(5)2(10)5(25)10(50)
環境・エコロジー(2)10(20)10(20)10(20)
コスト(20)10(200)5(100)2(40)
合計283235220

さいごに

未経験からエンジニアを目指す方のポートフォリオでお馴染みのAWSですが、小規模サイトを作る場合は、大抵のケースで国産VPSの方が安上がりです。コンペで受注を勝ち取りたいのであれば、顧客が重視するポイントを聞き、それを満たすようなインフラ構成で提案するのが定石です。中小企業や零細企業では、コストの上限が見えない従量課金はMUST要件でNGとなる場合が多々あるので、この点は事前に必ず確認しておくことが賢明です。今回の採点シートは説明用の超簡略版ですが、IPAが提供している非機能要求グレードのファイルは、日本のシステム業界の標準となる資料でもあるので、一読の価値ありです。

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